自転車と家族の日記

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食物アレルギー7 専門医はゼロリスクを目指す

演繹と帰納についてもう少し考えて見ます

前回の記事で専門医ほど演繹法で考えてしまう.また専門医は自分理屈を大切にするので,深みにはまっても抜け出せないってことを指摘しました.

専門医の考えを一般化することは,危険を伴う,,ってことです.

日本は基礎医学を重視します.臨床は基礎的な理屈を積み上げていけば説明できるって,誰もが幻想を抱いていた.だけど,人の体ってそれほど単純じゃないですし,個体差も大きいですからね.

演繹法は1⇒2⇒3(結論)という考えですから,結論は明快です.××すれば○○のはずだ,という仮定が臨床を動かします.誰にも分かりやすいですが,問題はそこにリスク評価の考えが入り込みにくいってことです.結論に至るまでの道筋が正しいか,正しくないか,1かゼロか,ってことになりやすい.二元論を生みやすいのです.

一方,帰納法は,
1,100名の子が健康に生まれた
2,その中で6歳までに5名が喘息を発症した.

こういった事象観察から,喘息が発症するのにどのような因子が関与するのかを考えていきます.
具体的には多変量解析という統計の手法を使うのですが,結果はオッズ比というリスクとして出力されます.
ですからこっちを研究していると自然にリスク管理の考え方が身に付いてくるのですね.

子供は未来があります.今の症状を抑えることより,将来の成長・発達のリスクを下げることが大切です.
ですので,小児のの臨床では“将来は△▼のリスクがある”という思考が必要なのです.

もちろん,どのようなリスクもゼロにはなりません.もし,ゼロリスクを謳っている育児や治療があれば,100%いんちきです.またリスクが極めて低レベルになったときには,それ以上の効果を求めないほうが賢明です.治療や日常生活への介入が,実際のリスク低減よりも大きな負担(新たなリスク)なってしまう可能性が高いからです.

ところが,専門医は演繹法で考えるので,やればやるほど子どもにとって良いはずだ,という思考から抜け出せないのですね.実際に今月号の小児アレルギー学会誌には,乳幼児喘息で1名死亡していた.喘息死ゼロを目指してガンバろ~!って論文が掲載されていましたが,読んでわたしは腰を抜かしそうになりました.
この年齢の喘息は感染症が主体であり,残念ですが弱い個体は必ず存在します.ゼロにはなりません。

さて,ようやく食物アレルギーの話に回帰して,,,食物アレルギーにどのようなリスクがあるのか?リスク低減は可能なのか?そこから考えないといけないでしょう.

このまま専門医の言うとおり,食物アレルギーで亡くなる子をゼロにするのか,,というのは文面上は正しいように思いますが,過剰に走りすぎ,メンタルなものを含めた全体としては国民の健康を害することになると思うのです.

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  1. 2013年11月14日 22:42 |
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