自転車と家族の日記

My Life with bicycle

ホッブス

リバイアサンで有名なホッブス(1588-1679)の研究者による本です.


えらくマニアックな本でした.社会学の知識がないと楽しめる本じゃないな.
知らない人名がわんさか出てきて,混乱した.文体も読みにくいが,文系の人ってこんな本をスラスラ読めるんだろうか?
正直言って,読むのが苦痛だった.もったいないので最後まで目を通しましたが.

近代的な,領域と主権が決まってる国家は,社会契約論がないと成立しなかった.
ホッブスは,人間は自然権を持ち,生存のために自然状態では「万人の万人に対する闘争」が発生するのは避けられないとした.
だから,人々が契約した強力な権力に,社会秩序を作ってもらうべきだと考えたようです.
王権を認める理論だって思っていたけど,著者によるとホッブス自身はそうは考えていなかったみたい.
権力は議会や国民でも良いですからね.

ホッブスが活躍したのは,17世紀前半ですから,宗教改革が起こった後で,ヨーロッパの人々の精神世界がガラッと変わった時代です.
イギリスでは国王を処刑したピューリタン革命,ヨーロッパ大陸では中世最大の戦争である30年戦争と重なります.
どちらも宗教がらみですし,30年戦争の後のウェストファリア条約で,主権国家の概念ができた頃だったというのがポイントでしょうか.
ホッブスの思想には,神が社会をコントロールするという中世的な考えから人間中心になっていったのと,臣民に対する国の役割がどうあるべきか?が見直される時期だったという,2つのことが影響しているのではないかな.

民主主義って,社会契約論がなければ始まらない.中華思想では無理だったし,中国や日本にはホッブスみたいな思想の土壌はなかったですしね.一神教がこういった世界を作ったのは間違いないでしょう.皇帝や天皇より偉い誰か(神)がいて,その権威がなくなっていったときに,新たなる主権者として国民の存在がクローズアップされた.

ホッブスの後にロック,ルソーって続いて,アメリカ市民革命,フランス革命が起こり,国民国家が形成された.
著者はホッブスの社会哲学がなければ,その後の思想的な展開はなかったと考えているようです.



先日のことだけど,東京五輪のエンブレムが決まったとのこと.



おいおい,どんだけ地味なんだ?これで良いのでしょうか.
このエンブレムで,国民の力を結集してオリンピックを成功させようって気になるかな?

↓前のデザインの方がはるかに良かったと思うのはわたしだけだろうか?
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  1. 2016年04月30日 22:23 |
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特別展 生命大躍進

大阪市立自然史博物館で,生物進化の博物館が開かれていると教えてもらって,さっそく行ってきた.

GWに入ってたので,かなり混んでました.


地球が誕生したのが47億年前,生命は40億年前に誕生したとのこと.
最初は原核生物で,核膜のない細菌だけだった.20億年前に真核生物ができ,まもなく多細胞生物が生まれた.
約6億年前のエディアカラ紀には様々な生物が出現したが,この植物群は間もなくほとんど滅びてしまったようです.
続くカンブリア紀にはカンブリア大爆発と呼ばれる外骨格を持つ生物群が出現した.
この群の中から現代まで続く脊椎動物が生まれたとのこと.

カンブリア紀の生物のひとつ アノマロカリスの模型
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実に奇妙な形の生き物です.と思うのは,現在生きている生物は,生存競争を生き抜いてきたので,機能的で洗練された体を持っている.そんな生物に慣れているから,古代の生物は奇妙に思えてしまうのでしょう.
この時代は,無骨で多様な個性を持つ生物がたくさんいたのでしょう.

カンブリア紀の次,オルドビス紀に生きた三葉虫の化石.
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三葉虫はかなり成功した生物だったようです.何億年も子孫を残し続けたとのこと.

進化についていくつかの本を読んだけど,実際の化石とか模型を見るとかなりインパクトありましたね.
ただ,呼吸器の進化についての展示や考証がなかったのが残念.いちばん興味があるところなのですが.

わたしは“進化”という言葉がいまひとつ好きになれない.
その言葉の裏には,人間は完成形で,過去の生物はそれを作るための通過点,って考えがあるんじゃないかな.
遺伝子は“少ないエネルギーで効率的にクローンを残せる”方向へひたすら変異を繰り返してきた.
人間もその延長線上にある単なる生物の一形態でしょう.

人がここまで繁栄して文明を築くことができたのは,たまたま情報を言語化する能力を持ったからです.
“考える”能力も言語化の帰結によります.言語化できなかった初期の人類は,“考える”ことなどできなかった.
しかし,人間同士の言語のやり取りが始まれば,どんどん言語は複雑になり,思考能力も向上していったはずです.
わたしたちが複雑なことを考えることができるのは,それに対応する言葉を持っているからです.

さらに,言語化により,その世代の情報は次の世代に渡すことができる.世代と共に情報が蓄積されることになります.
母親が赤ちゃんに話しかけるのは,様々な言語を教え込むことです.赤ちゃんは,人類がそれまで持っていた様々な情報をプレインストールされてから成長・発達していくことになります.
だから,年月と共に,人類はどんどん生存する力が強くなる.他の生物と決定的に違うのはそこにあるのでしょう.

ネアンデルタール人は,言語化する能力がわずかにホモ・サピエンスに劣っていたため,結果として徐々にホモ・サピエンスとの生存競争に敗れていった.
つまり情報の蓄積力に差があったので,年月と共に生存能力に差が付いていったのでしょう.

地球の歴史上,何度も生物の大量絶滅があったとのこと.
人類はいつまで生き延びることができるのかな,って思わずにはいられない.
いつか絶滅する日が来るでしょうけど,それは気候変化か,核戦争かな?
  1. 2016年04月29日 21:39 |
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世界史を変えた薬



日ごろ文句を言ってる医薬品.
実は,世界でもっとも多くの人の命を救ったのは,神でも英雄でもない.薬なんですね.
特にサルファ剤,ペニシリンから始まる抗生物質の発見は,他の何よりも大きな恩恵を人類に与えた.
わたしが毛嫌いしている製薬メーカーは,歴史的に見て他のどの業種よりも人々を幸福にしてきたわけです.
真の問題は開発する企業よりも,それを使う側の問題かもしれませんね.

最近いくつか読んだ本は,学者が書いてたのでとっても読みにくい.
ところがこの本を書いたのは,サイエンスライターの佐藤氏で,すんなり読める.
移動の電車と居酒屋でビール飲みながらでほとんど読んでしまった.
文章力って大事ですね.
  1. 2016年04月28日 21:07 |
  2. 読書と映画の記録
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