自転車と家族の日記

My Life with bicycle

リスク強調社会 その3 商品化された労働力

社会の仕組みが資本主義を基本とするものに変わっていって,“労働力が商品化”された結果,自由競争に組み込まれることになりました.

最初は労働って,羊毛から布を作る工場制手工業だったのですが,綿花生産が機械化されるにつれ,工場制機械工業になっていきました.ガッチャン,ガッチャン,動く機械の油にまみれて働くイメージですかね.
なお,当時の労働者の平均寿命って驚くほど短かったそうな.
もともと農奴だった人たちですから,彼らの労働環境なんて考えてくれなかったのでしょう.

さて,労働者も考えます.誰でもできる仕事は,価値が低い.つまり,給料が安い.
労働価値は希少性によって上がります.つまり,自分しかできない仕事だと,労働の価値が高くなる.それじゃ,他の人ができない仕事をしよう!
これが専門職の始まりです.以降,資本主義社会が成熟するにしたがって,専門性の高い仕事が色々と生まれます.専門職ってのは,資本主義だからこそできるものです.
当たり前ですね.逆に給料が同じだったら誰でも楽な仕事に付きたいですから.

そこから,時代が進み,様々な労働の形が出てきました.
労働者はみんな自分の労働価値をアピールします.

産業は,第一次から三次に分けられますが
第一次産業の人は,,,,「うちで採れる米は最高に美味いよ!」
第二次産業の人は,,,,,「うちの会社のクルマは,速くて静かだよ!」
なんて感じでしょう.こんな話,普通に聞きますよね.

20世紀から21世紀になって,もっとも重要になってくるのは第三次産業,つまりサービス業です.
小売,運送,販売なんかがそうですかね.教育とか,医療もここに入ります.

厚生労働省のHPから取って来た図ですが
sangyou123.jpg

戦後,第一次産業の人口はどんどん減って,第二次産業は変わらず.
増えているのが第三次産業,特に近年は,情報通信とか,金融・保険,医療・福祉なんかも増えています.

なお,第三次産業は
1,物を提供する  小売業とか,飲食店とか
2,情報を提供する 通信業 NTTとか
3,快適を提供する 医療とか自動車の修理なんかもここ
に分けられます.

ズバリ,専門性の発達と,第三次産業(サービス業)の発展が,人々の不安を増す原因になったのです.
特に最後の快適を提供するサービス業ですね.労働者が快適な社会を作ろうと努力することが,人々の不安につながってしまうのです.なぜかと言うと,このサービス業は基本的にリスク管理のシステムで動いているからです.

例えば自動車の修理の人は,エンジンの調子をすごく気にします.
ガソリンスタンドには汚くなったエンジンオイルが展示されて,交換は走行3000Km毎にして下さい,なんて書いてます.
確かにエンジンの故障リスクは,オイルが新しい方が少ないでしょう.
トラブルを減らし,快適なクルマ生活を送るためには,頻繁にオイル交換をした方が良いのは間違いありません.
故障のリスクを下げるために,頻繁にオイル交換をしなさい,って主張することは,自動車の専門家であれば当然のことです.
しかし,それが1万Kmと故障リスクがどのくらい差があるのか?恐らくごくわずかでしょう.
だけど,オイル交換せずに3000Kmを過ぎるとちょっと不安になりますよね.
ガソリンを入れたときに,そろそろオイルを交換して下さいよ.その方がエンジンが長持ちしますよ~,なんて言われます.
そういった習慣がない,エンジンを大事にしない人にとって,これは軽いストレスです.

では,歯医者さんはどうでしょう?虫歯予防のために,歯を磨きましょう!って言いますよね.
歯医者に行けばポスターがかかってます.虫歯のリスクを伝えているわけです.

このように,専門分野になればなるほど,その分野のリスク情報を出します.
もともとは自分の労働価値を高めたい,という意識から出るものですが,それが社会を安全な,快適なものにしてきたのは間違いありません.また,現在では,リスク情報を出すことは,その専門職の社会的役割でもあると思われています.
通信業の発達によって情報の拡散が容易になったので,リスク情報を出すのが簡単になったのも,その傾向に拍車をかけてます.

ところが,ここに落とし穴があった.
リスクが十分に減ってくると,人々はリスクに敏感になります.
ですが,専門家はますます細分化していき,それぞれの分野でリスクを主張していきます.
結果として,リスク情報が世の中にあふれてしまうという結果になります.これが人々の不安感が高まった原因です.

また,人間は,自分の理解が難しいもの(コントロール不能のもの)に関しては,リスクを過剰に感じます.あふれる専門家のリスク情報は,意外にストレスなんですね.小さいストレスでも,積み重なると脳を疲れさせ,余計に不安感が高まります.

このように,資本主義社会は,その構造上,リスク強調社会になっていってしまう宿命にあるのです.
これが現代は,「安全だけど安心でない社会」,になってしまった理由なんです.



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  1. 2015年01月30日 23:30 |
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