自転車と家族の日記

My Life with bicycle

不登校と引きこもりの病態生理

不登校は小学校6年生で全体の0.6%,中3で2-3%程度の割合でいる.
引きこもりは全国で約70万人と推定.予備軍は155万人とのこと.

これは実はものすごい数字です.不登校と引きこもりは密接に関係する.同じ病理と言って良い.
引きこもりになる人間は肉体的には健康だし,能力の高い人も多い.
それが生産性がゼロで,人に面倒見てもらわないと生きていけないようになれば,社会的な損失は極めて大きい.
何らかの対策が必要です.

不登校や引きこもりの対策が進まないのは,“甘え”や“過保護”だという誤解があることも一因です.
そのように考えてしまうと「家庭の責任」とされてしまい,適切な治療やアドバイスを受ける機会を逸してしまうことになります.

不登校や引きこもりは,「脳の病気」です.
病気と理解されがたいのは,いわゆる精神病や脳腫瘍のように,個人の身体内だけが原因になって発症する病気ではなく,周囲との相互のやり取りや,社会環境が発症に大きく関与するからでしょう.

さて,不登校や引きこもりは何年も続きます.なぜ長引くのか,病態が分からないと解決もできません.
解説書を読んでもピンと来るものは少ないと思います.ここでその病態を考えてみます.

まず,不登校も,引きこもりも,最初は何らかの“脳の痛み”で始まります.
典型的なのはいじめとか,勉強についていけない,集団生活でのストレスの蓄積などでしょう.
そういうストレスが“脳の痛み”を起こすと,一時的に脳は機能低下を起こし,元気がなくなったり,朝が起きられなくなったり,食欲がなくなったりと,一見してうつ病のような症状となります.
これは本当のうつ病とは違い,心因反応ですので,しばらく安静にすることで回復します.
安静にというのは,脳にストレスをかけないことで,無理に学校に行け!とか言ったり,怒ったりしないことですね.
あせらず,のんびりさせてあげましょう.

通常,こういった心因反応は数か月で解決します.1年以上になることはありません.
しかし,不登校や引きこもりは何年も続くことがよくあります.
それは,症状を長引かせるネガティブループを作ってしまうからなんです.

ヒトの脳は,創造性があるのが特徴です.色々なアイデアを出したり,次はなにをしようか,将来は〇〇になりたい,って未来のことを考えることができるでしょう.それは脳の前頭葉のある部分から出てくるものです.将来的には恐らく脳のどの部分が関与しているのか,特定できるでしょう.

未来のことを考える部分は,元気(やる気)を出す部分です.下図に模式的に示します.
yaruki1.jpg

脳の元気中枢が,大脳辺縁系にシグナルを送って刺激します.大脳辺縁系は,感情を司る部分です.
感情は最終的には辺縁系の扁桃体というところの快,不快の判断に収束されるものですが,実際には喜びや怒り,悲しみ,等々,様々に言語化される複雑な脳の働きとして出力されます.

感情は脳を動かすエンジンです.喜びや怒りがあるから,ヒトとしての様々な活動ができるのです.
なお,夜間睡眠や,食欲などのコントロールもここで行われています.

ところが,一度脳が痛い目に遭うと,どうなるでしょうか.
次もまた同じことが起こらないか?って怖くなります.これはヒトが並外れた学習能力を持っていることの証明でもあります.

身体的なものでも,強い痛みがあればずっと覚えているでしょう.
例えば腰痛.ぎっくり腰をやったことがあるヒトは分かると思いますが,あの痛みはずっと覚えています.
またならないか心配になって,「無理しちゃダメだな」,って思うでしょう.それと同じことです.
脳の方がより直接的なんで,強く覚えているかもしれませんね.

すると,どうなるか?
怖い,というのは“恐怖心”や“不安感”として,脳に残ります.
それを持続的に感じていると,脳の元中枢に作用して,弱らせてしまうのですね.

yaruki2.jpg

すると,元気中枢から大脳辺縁系に送られるシグナルが細くなります.(上と下の図で,矢印の太さが違います.)
結果として大脳辺縁系の機能が低下することになります.

大脳辺縁系の機能は,,感情や睡眠などの日常リズム,食欲などに関係していましたね.
ですので,ここの機能低下で

1,感情に乏しくなる 
 表情に乏しく,喜び表現が少なくなったり,怒りっぽく,切れやすくなったりもします.
2,睡眠リズムが狂う
3,食欲が落ちたり,異常に亢進したりする.

なんてことが起こるわけです.

このように日常生活が普通どおりにできないとどうなるか?
やりたいこともできなくなるでしょう.それは将来への不安や恐怖心につながることになり,ますます脳の元気中枢を弱らせることになってしまいます.

不登校や引きこもりが長く続くのは,こういったネガティブループが脳の中で作られちゃうからなんですね.

では解決法を.

ループをまわさないようにするためには,大脳での恐怖心や不安感を取ってあげることです.

1,自分のしんどさ,つらさが悪いものではないこと,解決可能なものであることを理解してもらう.
2,不安感,恐怖心の解消のためには生活のバックアップ
3,適切な時期が来れば外からの働きかけは大切.
 登校するとか働くことを一足飛びに促すことは避けて,まずは外出すること.遊びに行くのでも可.
4,dutyがないことは不安感を増す.できるだけ日常のルーティンとなるdutyを作る.
5,運動はネガティブループを強力に止める.できるだけ行うべき

言うは易く行うは難し,になってしまいがちですが,他の方法はありません.







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  1. 2015年07月15日 23:17 |
  2. 発達障害
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