自転車と家族の日記

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アトピー性皮膚炎が増えたわけ その4 淘汰圧

黄色ブドウ球菌は,都市化が進み,人と人の距離が減少し,接触が濃厚になることで感染が広がりました.
特に広がる原因となったのは幼稚園や学校です.

戦後は集団教育がどんどん低年齢化していきました.戦前では6歳未満で集団で生活するのはごく一部でしたが,現在ではほとんどの子どもが保育所,幼稚園などの集団生活を経験しています.

ここから引いてきたグラフです.
youtientoukei2015.jpg

特に60年代,70年代には急激に幼稚園児数が増えています.

黄色ブドウ球菌が繁殖しやすいのは,傷ついた皮膚です.
乳幼児は皮膚が弱く,その中でも幼児は活動性が高まるために皮膚に傷を作ることが多い.
それをターゲットにして,黄色ブドウ球菌は繁殖するのです.
繁殖した黄色ブドウ球菌は,乳幼児の集団生活を通し,社会全体に急速に広まっていったと思われます.

淘汰圧という言葉があります.例えば,咳をするインフルエンザウイルスと咳が出ないインフルエンザウイルスが存在したとします.咳が出ないウイルスは,感染してコピーを作ったとしても,人の免疫で駆逐されてしまいます.咳が出るウイルスは,駆逐されるまでにコピーが飛び出して他の人に感染するので,生き延びることができやすいのです.

これが淘汰圧で,インフルエンザウイルスが変異を繰り返していくうちに,咳を引き起こしやすい遺伝子を持ったウイルスが選択的に生き残ってきたわけです.だからインフルエンザって結構咳が出ますよね.

では,黄色ブドウ球菌が社会の中に広がっていくときに,どのような淘汰圧が掛かったのでしょうか.

黄色でない,普通のブドウ球菌は人との共存を選びました.遺伝子変異が起こり,皮膚の上で炎症が起こるようになった株は,肌から追い出されてしまうために生き残れません.共存のためには,病原性を持たないように淘汰圧がかかります.

一方,黄色ブドウ球菌は,たまたまカタラーゼという酵素を得た.そこで,皮膚の免疫を潜り抜けることができるようになった.
すると,人の皮膚に“感染”し増えることができます.それがきっかけで,黄色ブドウ球菌は人と戦うことを選びました.

そんな中で,人から人へ感染しやすい菌は,皮膚の上で増えやすい遺伝子を持った菌になります.
つまり,皮膚の上でもっと増殖するような淘汰圧がかかります.
増殖力を増やすためには,人の免疫に抵抗する遺伝子,つまり毒素性の遺伝子を持つことです.
このようにして,社会に広がっていく間に,様々な毒素を持った黄色ブドウ球菌が増えていったと考えられます.

人の皮膚は多様です.黄色ブドウ球菌の毒に対して,抵抗力もある人もいれば,抵抗力が弱い人もいる.
現在ではほとんど保菌せず,黄色ブドウ球菌と無縁の人もいる一方で,成人の20-30%が鼻腔に黄色ブドウ球菌を常在させているようです.

つづく?





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  1. 2015年09月25日 22:12 |
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