自転車と家族の日記

My Life with bicycle

虐待と母性について

虐待に関して,定期的に報道されます.ここにまとめがありますが

オレンジリボン運動のHPから統計も見れます.ここ

元は厚労省のデータなんで,一応正確でしょう.

ざっくり書くと,毎年数十人の子どもが虐待死している.もちろん,一番多いのは0歳児,半数以上は母親が原因.
報告例が激増してて,これをもって虐待が増えた!って騒がれることが多いのですが,報告する敷居が低くなってるので当然です.虐待死そのものは,ものすごく増えたわけじゃない.横ばいかむしろ減っています.

母親が赤ちゃんを殺した!ってのは,センセーショナルなんで報道されますが,毎年100万が出生して,殺される乳児が20名程度,つまり5万人に1人くらいです.実は,現在は有史以来もっとも殺される赤ちゃんが少ない時代であると言えます.
バンバン報道されるので,今の母親はどうなってんだ?って気分になりますが,それは単にイメージの問題で,事実は逆なんです.

ヒトの生物としての出産はかなり特殊みたいですね.
ヒトにもっとも近い動物はチンパンジーですが,その出産は5年に1回くらいです.
ヒトは毎年のように産めるので,実はチンパンジーよりもはるかに多産です.
ところが,新生児は極めて未熟な状態で生まれてくるので,一人ではとても生きていけません.これは他の生物にはない,ヒトだけの特徴です.
ヒトの設計図は,産んでも育てられなくて死なせてしまう,ことを前提に作ってあるわけです.
ですので,もともとヒトは赤ちゃんを死なせてしまうことがある動物なのです.
現代人から見るとショックなのは,文明化でそれが見えていないからでしょう.

赤ちゃんを死なせるなんて,母性があるんだからあり得ない!って思われるかもしれませんが,実は母性ってのは必ずしもあるものじゃないってのも注意が必要です.

母性の一部は本能ですが,出産してからはホルモンが大きく影響します.
女性は子どもを産むと,オキシトシンというホルモンが分泌され,乳腺に働いて母乳を分泌させます.
このホルモンは脳にも働いて母性を刺激します.だから赤ちゃんにおっぱいをあげると幸せな気持ちになるのです.

オキシトシンはもともと進化の過程で子どもの死亡率を下げるために出現したホルモンです.つまり無駄に母親が子どもを死なせないために用意されたのですが,オキシトシンがあった方がヒトとしての遺伝子を残しやすかったからです.
こう考えると母性ってとっても大切ですね.

もちそん,その他の環境因子も母性に強く働きかけます.
原則として,母親に余裕があればあるほど,母性が働くようになっています.
人間は常に食料が豊富に得られたわけじゃない.食っていく余裕があるときほど,赤ちゃんを育てようと強く思うのです.
逆に考えると,食っていけないときには死なしても仕方なかったんですね.
現代でほとんどの赤ちゃんを育てることができるのは,食っていくことに困らないからなんです.

日本のような先進国でも,一部の人々は生きていくのが困難なほど困窮しています.
ですので,そういった環境は虐待のリスクを上げてしまいます.
貧困と虐待はリンクしてるってことです.

問題なのは,ヒトはあらゆる生物の中で唯一ですが,年中発情期なので,いつ子どもができるか分からない.
※特定の発情期がなくなったのは,祖先の生活が非常に苦しくて,産めるときには産んでしまったほうが種族として生き延びることができたからかもしれません.もしくはコミュニケーションのためかも?

都合の悪い時に生まれてしまう赤ちゃんは必ずいるのです.
もともと,母親はそんな赤ちゃんを育てることは放棄していたわけですが,現代は産まれた瞬間に赤ちゃんは人権を持つと判断されます.
ですので,育てることができなくって死なせてしまうことは殺人になってしまう.
こういった価値観は,もともと種としての人間の生活には合ってないものなのです.
なお,日本の刑法で子殺しが罪になったのは明治以降のことです.
江戸時代に“間引き”があったのは確実とされています.
母性の神聖化と言いますが,母親は尊いもので,絶対に子どもを愛するものだ,というのは,現代社会が作り上げたドグマに過ぎないわけです.

こんなことを書くと,お前は虐待は仕方ないから放置しろ,って主張していると誤解を生みそうなのですが,言いたいことはそこじゃない.
虐待予防というのは,,“育てられない母親は絶対にいる”,“母親は虐待して死なすことがある”という事実を前提にしないといけない,とわたしは思うのです.そこが意識されないからおかしいことになっちゃう.
虐待なんてあるはずがない!って思い込んでたら,対策しにくいでしょう.

ヒトの生理から考えると,虐待死は絶対にゼロにはなりません.減らしていくことはできるでしょう.
解決策は,産まれた子どもは母親が育てるべきだ,という思い込みを排除することです.
いつでも,誰かに子育てを代わってもらえるという安心感があった方が良いでしょうね.

虐待死を防ぐためには,母親に頑張れ!って言い続けるのでは無理なんです.
母親が子育てを放棄できるようなセーフティネットを社会全体で考えていくことでしょう.
要するに,一定の条件化で子育てを肩代わりするシステムを整備して,そこに無理なく預けられるようにすればいい.

例えば認知症の老人を老人ホームで面倒を見てもらうのは,それほど抵抗ありません.
そうでないと家族は社会生活できないし,システムができあがってるので,社会サービスを受けるという感覚なんです.
子どもも同じように,“育てられないから預かって欲しい”という要望に応えられるような,システムを整備することは可能でしょう.
今までのように,子どもは両親が責任を持って家庭で育てるべき,という思い込みは捨て去っても良いように思いますね.


昨日の写真ですが
IMG_4465.jpg

久々信貴山経由で帰ったら,なんと膝を痛めてしまった.
以前ならなんでもない坂道だったんですけどね.弱ってるな~
もうロードはあきらめた方が良いのかな.


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  1. 2016年08月31日 19:15 |
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